2019年06月09日

ホモ・デウス

ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来」を読了。
サピエンス全史」と同じく、歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリの筆によるものです。前作がかなり良かったので今作にも期待していたのですが、個人的にはちょっと散漫な印象を受けました。
「全史…」のほうは過去を紐解き、「ホモ…」のほうは未来の可能性を示すのが本旨なのですが、「全史…」ですでにお目見えになった内容のリプライズが結構な割合であり(必然性はあるのですが)、構成は少しだけ複雑になっているように思えます。私の読書スタイルが通勤中に少しずつ読むというものなので、悪くなった記憶力との相乗効果で脳内整理が追いつかず、よけいに散漫に捉えられたのかもしれません。
しかし、個人的には最終盤のくだりで一気に腑に落ちました。なるほど!と。
非情とも思える予測可能な未来に対して、判断の余地を残す。さすが歴史学者的なアプローチだなと思いました。ぜひ多くの人にも読んでいただきたいです。


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2019年04月22日

こわいもの知らずの病理学講義

こわいもの知らずの病理学講義」を読了。

そもそも病気とは?というレベルから、癌の機序に至るまで、素人でも分かりやすくかつ面白く解説してくれます。身内が数度の癌や悪性リンパ腫に罹患しているので、他人事ではありません。私も長生きすれば間違いなくお世話になる予感なので、いざというときに慌てないように普段から理論武装しておきたいものです。トンデモ本や無責任な民間代替医療に惑わされることなく…。

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2019年04月06日

死すべき定め

死すべき定め――死にゆく人に何ができるか」を読了。

齢70を超え、低ナトリウム血症と悪性リンパ腫に罹患した(今は小康状態)父親が読んで「感銘を受けた」とのことで、借り受けました。米国の現役外科医による筆で、内容は高齢や病気によるターミナルケアにフォーカスしたものです。
ターミナルケア。超高齢化社会、二人に一人の癌罹患率などを踏まえると、誰にとっても他人事ではなく、誰もが目を背けたくなる将来の懸念事項です。「日常生活が送れなくなったら老人ホームに行けばいい」というレベルで気楽に考えていましたが、これを読むと考えが変わります。人生観が変わるというと若干大袈裟ではありますが、個人的にはそれに近いものがありました。「どう生きるか」ということは「どう死ぬか」ということと表裏一体であり、死から逃げるのではなく、向い合うことで生を充足させることができるのだと改めて思いました。良書。


 
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2019年03月07日

サピエンス全史

いまさら感がすごいんですが、ようやく「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福」を読みました。買おうかと思ってたんですが、父親が原書と和訳本両方持っていたので、和訳本を借りて読了。

著者は歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリによるものですが、書かれている内容は最新科学に至るまで広範に渡ります。よくこんなに精緻に調査できたなと頭が下がる思いです。
タイトルにあるように、ホモ・サピエンス(賢い人の意)の歴史を総括したもの。人類の歴史を総括するなんて途方もないことだと思うのですが、本書は実に巧妙にポイントを絞ってまとめています。最後の方は若干冗長かもしれませんが、この後に発刊された「ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来」につながる伏線となっているそうです。(こちらもこれから読みます)

個人的に一番感銘を受けたは、痛烈に人類の愚かさを批判しているところ。批判といっても、あからさまに「こんなことは許されるべきではない」「これは悪だ」という論調ではなく、あくまで淡々と冷静に事実を書き連ねるもの。まるで証拠物件を机の上に一つずつ広げていくように、その淡泊さが返って反論の余地を与えない糾弾になっているのが興味深いです。
その対象は原初の人間の営みから始まり、人種差別、女性差別、資本主義(かといって共産主義礼賛ではない)、工業的に「生産」される家畜などなど…。
読んでいて溜飲が下がる思いでした。

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2019年03月06日

残酷すぎる成功法則

最近本を読んでもブログを書いてなかったので、久々に…。
先日の欧州出張の往路、寝られなかったので「残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する」を読みました。
よくある啓発本の類ですが「科学的」に検証しているのが特筆すべき点ですかね。なんとなく独り歩きしがちなライフハックやビジネスノウハウの妥当性を検証するというものです。

そこそこ面白かったのですが、読み終わってしばらくしてから内容を思い出そうとしても全然思い出せず愕然としました。私の脳の老化の所為もあるんでしょうけど、この手の本って割と上滑りするものが多いのでこれも同様かな…。

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2018年11月29日

人工知能はなぜ椅子に座れないのか

書籍「人工知能はなぜ椅子に座れないのか」を読みました。
最近「AI」という言葉が飛び交っていますね。現在は第三次AIブームなのだとか。

非常に興味をそそられるタイトルですが、結論から言うとまぁまぁといったところでした。
端的に論旨を述べると、人工知能が万能であるという昨今の浮かれ方に釘を刺すといったところ。巷では2045年には人工知能が人間の知能を超える「シンギュラリティ」について喧伝されていますが、本書を読むと、物事はそんなに単純ではないということがよく分かりました。コンピューターの成り立ちから人工知能の発展と将来の展望を簡易に説明してくれています。

言いたいことは分かりますし納得なんですが、ちょっと繰り返しが多く冗長に思えました。また、一部では論理が飛躍しているところもあるように思えたり。私の理解力不足かもしれませんが、「場の哲学」のくだりなど、何度読んでも意味が通らない箇所も。とても興味深いタイトルに関わる説明についても、正直「なんじゃそりゃ」と思いました。当たり前じゃないかと思ったので。もっと面白いパラドックスが紹介されると思っていたので残念です。

まぁ、「弱い人工知能」と「強い人工知能」の違いが分かっただけでも収穫ですかね。私は「弱い人工知能」が高度になっていくのかなとイメージしていました。あくまで機械ですから、わざわざ人間と同じスペックを求めるのもなんだかなぁという気がします。


 
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